日本瓦はもともと土で接着していたためとても重く、太い柱と梁材で支える必要がありました。近年瓦は桟木に留められるようになり、重量は約半分になっています。20世紀後半になって建築の洋風化にともないカラーベストなどの新素材がもてはやされ、重量はさらに半分以下になりました。ところが、カラーベストは耐久性に乏しいだけでなく、その材料として使われたアスベストには大きな発がん性がある事が判り、葺き替え時の解体作業をどのように行なうかが問題となっています。
耐震性を向上させる為には、屋根の軽量化は大きなメリットとなります。しかし、瓦から金属屋根への葺き替えは良いのですが、カラーベストの場合は、解体工事が発生しないカバー工法(重ね葺き)で既存屋根の上に軽い金属屋根をかぶせてしまう方が安全といえます。(カラーベスト+金属屋根の重量は瓦の約半分)
耐震性能の上で瓦が悪者にされる傾向がありますが、瓦のままでも壁の補強によって必要な強度を得られるケースもありますので、耐震診断によって瓦をかえる必要がないと判断できれば、むりに葺き変える必要はありません。むしろ、瓦には耐久性、保温性、静粛性など優れた点も多いので、また街並保存の点からも残していきたい日本の建築文化ではないでしょうか。